『図書館危機』 有川浩
先週から『図書館戦争』のアニメ版の放映が始まりました。目標にしていた放送が始まる前の全巻読破はなりませんでしたが、先週末に読み終わりましたので、感想を2巻連続で書きたいと思います。
有川浩さんの「図書館シリーズ」第三弾、『図書館危機』。
構成を簡単に説明すると、
一・二章では前作で確立したキャラクターを使って小さなエピソードが書かれています。
一章では、前作のラストで衝撃の事実を知った笠原がその事実をどう消化していくかを、二章では昇任試験時の笠原・手塚・柴崎の姿がそれぞれ描かれています。
三章ではこのシリーズのテーマ(?)でもある「検閲」の問題を、現実の世界でも現在進行形で行われている言葉の規制を「床屋」という言葉を題材にして描いています。
そして、四・五章では笠原の地元である茨城県展を舞台に、情報歴史資料館攻防戦以来の図書館隊と良化委員会の全面抗争が描かれています。
前作「図書館危機」では図書館内部のエピソードが中心だったので、今回は描かれてこなかった良化委員会側が描かれているのかと思っていましたが、それは全く描かれていませんでした。
この事実からも分かるように、この作品は下地として「検閲」の問題が描かれていますが、そこをメインテーマとして掘り下げるつもりはなく、あくまでベタな恋愛と図書館隊の活躍を描くことが目的なのでしょう。そのため作者の姿勢が不明確で、言葉の規制を扱っている三章のような話になると、なんともあやふやになっているような気がします。
ちなみに「あとがき」で作者はこんなことを書いています。
最後の一巻を前にして、なかなかあとがきにも書く言葉が出てきません。でも読者の皆さんにおかれましては相変わらずのベタ甘とか色々楽しんで頂けたらと思います。
<中略>
つか、活字でベタ甘とか痒いとかこっ恥ずかしいとか好きなの私だけじゃないよね!?「あとがき」より
確かにベタなだけに読んでいて、大団円になりそうな安心感があるのは嫌いじゃないですね(^^