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レインツリーの国

レインツリーの国

ネットを通じて知り合い、メールの交換で惹かれあっていく伸とひとみ。
やがて伸は直接会うことを強く望むが、ひとみには重大な秘密があって・・・。

著者は「図書館シリーズ」の有川浩

実はこの作品、『図書館内乱』で小牧が毬江に薦めていた小説をスピンオフの形で出版したもの。
以前から、普通の恋愛小説の方が有川浩さんには向いているような気がしていたので、大いに期待していました。
主人公である伸とひとみの心理描写は期待通り、実に細やかで良かったのですが、「図書館シリ-ズ」以上にキャラクター間のやりとりに魅力がないのが残念。何故ここまで・・・、疑問です。
文章は相変わらず読みやすく、すらすら読めてしまいますので、早ければ1時間程度で読み終わると思います。

恋愛小説ではありますが、私はこの作品で一番大事なテーマはこの箇所だと思います。
この箇所は、ひとみが伸の抱えるトラウマを知った後に自問自答している場面です。

聴覚障害者にしか聴覚障害の悩みや辛さは分からない。だから分かり合うことなんかできないと思っていた。
だが、他人に理解できない辛さを抱えていることは健聴者も変わらないのだ。その辛さの種類がそれぞれ違うだけで。
聞こえるのだから自分たちより悩みは軽いに決まっているなんて、それこそハンデのある者の驕りでしかなかったのだ。伸のように、たとえ健常な聴覚とコミュニケーションの手段を持っていても、他人に痛みを晒そうとしない者だっているのだ。
<中略>
痛みにも悩みにも貴賤はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、それに苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような人間が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くて辛い、それが人間だ。
(本文中P.156,157より)

この部分には強く共感できるのですが、それならば何故、伸にあのようなトラウマの設定を与えているのかが疑問です。悩みに貴賤がないと言いながら、二人は大きな悩みを抱えています。このことが、物語の感情移入を妨げているような気が。関西弁も含めて、伸はもっと平凡なキャラクターにした方がこの作品には合っていたと思います。

テーマ : 恋愛小説 - ジャンル : 小説・文学

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