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藍とリラの関係が?『一分間だけ』

かなり前に購入していたにも拘らず、読む事を躊躇していた『カフーを待ちわびて』の原田マハ著の『一分間だけ』。
おととい、書店で文庫版が出ているのを見て、さすがに読まねばと思い先ほど読了しました。
原田マハ『一分間だけ』
▲ミュウ爆睡中犬寝

あらすじ
ファッション誌『JoJo』で働く神谷藍は、とあるきっかけでゴールデンレトリーバーのリラを飼うことにした。恋人で同居人のコピーライター、津村浩介とともに育て始めたが、リラのためにと都心から郊外へ引っ越した途端、藍の生活は一変。いい仕事をすることが生き甲斐の藍は、仕事に忙殺されていくうちに、何を愛し、何に愛されているかを次第に見失っていく・・・・・・。浩介が去り、残されたリラとの生活にも苦痛を感じ始めた頃、藍はリラが癌であると告げられて・・・・・・。


この小説は「藍の物語」であって、「藍とリラの物語」になっていないと私は思います。
作中でリラは藍の価値観の変化を促す因子でしかないように思うからです。
確かに終盤の介護の場面などはグッときますが、あくまで本筋は藍の内面変化なんですよね・・・。
リラの存在によって起こるリアルな出来事を浮き上がらせるために、リラ以外に藍が関わる人たちとのエピソードはひどく作り物めいています。
浩介、友里、奈津美、北條、斉藤、田中、岡部たちはひどくステレオタイプなキャラクターで、現実感の乏しい完全なファンタジーですね。
個人的にはシビアすぎないのは助かりますけど、中途半端な印象も受けるかもしれません。

一人暮らしの人が動物を飼うことの難しさをハッキリ書かれている(これだけ周囲が協力的でも・・・)のは好感が持てますが、正直マイナス面のみが強調され過ぎている気が・・・。
藍とリラの6年間のうちにキラキラ輝く大切な時間があったと思うんですけど、リラにまつわる辛い描写ばかりでそこが全然ないんですよね。
そのために藍のリラに対する愛情の深さ、リラが藍に向ける親愛がいまいち伝わってこないのが残念です。

ちなみに私が一番心に残ったのは冒頭です。
以前に紹介した『そこに愛がありますように』に通じるものがあって、いきなり涙があふれてきました。
ちょっと長いのですが、下に引用しておきます。
神様。
どうかお願いです。
一時間だけ、時間をください。
一年とか一ヶ月とか、そんな贅沢は言いません。一週間、いえ、一日なんて望みません。
せめて、一時間だけ。
そしたら私、あの子に、リラにいろんなことをしてあげられるんです。
私たちは散歩に出かけます。いつもの散歩道を、一緒に歩いて行く。
あの子の鼻先は小さなものをみつけます。小石や、名もない雑草、蟻んこ、ガム。そんなささやかなものに行き当たるたびに、決まってあの子は立ち止まる。
この世で考えられうる限りもっとも価値のないもの、それにあの子は夢中になるんです。形を確認して、匂いを嗅いで、いつまでも動かない。そんなくだらないものを、いとおしむように、まったく、あきれるくらいに。
でも、あの子がそうしてくれるおかげで、私は空を見上げることができるんです。
<中略>
ほんの少しまえを行くあの子が、ときどき私を振り返る。
ちゃんといっしょにあるいてるよね? そう確認するように。
うん、一緒に歩いているよ。私は目でそう答える。
ああ、よかった。そう言うように、あの子はまた、ときどき立ち止まりながらゆっくり進んで行くんです。
いつもと変わらない、いつもの散歩道。
<中略>
それから、ボール遊びもします。狭いリビングで、私がぽいっと投げるボールをあの子があわてて取りに行く。そして得意満面、私のところへくわえてきてくれるんです。そしたら、思いきりほめてやる。
持ってきてくれたんだ。えらいね、リラ。すごいね。
あの子は私が大好きだから、大好きな私にほめられたくて、一生懸命になるんです。
そうして、遊び疲れたら、最後に私はあの子の大きな頭を膝に載せてあげます。
あの子を抱いて、寝かせてやります。
あの子は伸び伸び、四本足をぐーんと伸ばして、大きなあくびをするでしょう。私は全身を隅々、撫でてやります。長い金色のまつげをそっと閉じて眠りにつくまで、うつらうつら夢をみるまで、ずっと膝に抱いています。
どんな痛みも苦しみもないところへと、静かに旅立って行くまで。
きっとあの子の夢は、笑っちゃうほど単純なはず。いつもの散歩道を、いつもの速度で歩く夢です。なんの役にも立たない石ころや、名もない雑草をみつける夢です。ときどき後ろを振り返り、私のまなざしをみつける。そんなささやかな夢なんです。

いっしょにあるいてる?
一緒に歩いてるよ。
ずっといっしょにあるいてる?
ずっと一緒に歩いてるよ。

色々と不満を書いてしまいましたが、この作品を読んで自分がいかに恵まれているかを再認識させてもらったのも事実ですね。
お母さん、いつも4匹を見てくれてありがとう~きゃー
なんて思ってたら来週お母さんのお誕生日でしたーーーうあっ

ところで、文庫版の子犬はゴールデンですけど、ハードカバー版の表紙の子ってラブラドールに見えませんか?
一分間だけ (宝島社文庫)

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テーマ : 文学・小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : 読書 感想

コメント

感謝ですね♪

麻呂です。
わんこを価値観の変化を促す因子だけ・・・にはしないで
欲しいですよね。

忙しいとイラつくことも煩わしいこともあるでしょうが、癒されることも和ませてもらうことも多いですよね。
わんこって一緒にいるだけで喜んでる子たちなので、一緒にいられることを喜べるようでありたいと思います。
毎日、元気で一緒にいるって幸せなことですよね。
ママえもんに感謝できてよかったですね。
素敵なお誕生日にしてくださいね。ぽち

No title

お久しぶりです(*^_^*)
やっと帰宅しました~

たしかにそうですね。
ワンコの事より飼い主中心のお話のようです。
私も普段はワンコ達の事を思ってますが忙しい時は嫌だなと思うこともあります。
しかし、なんかこの本の方とは違う気がします。
私も恵まれているのでしょう。

表紙の子ラブラドールっぽいですね(*^_^*)
可愛い。

麻呂さんへ

麻呂さん、おはようございます。

この小説、冒頭はグッときたんですけどねぇ・・・。

わんこと寄り添うことだけで沢山の幸せがもらえると思うんですけどね。
もちろん私も幸せをあげないといけませんけどね!
週末ぐらいしか思いっきり遊んであげられませんけど、
精一杯の気持ちで喜ばせたいと思いますe-446

ママえも~んe-266には感謝してもし足りないので、
何をしてあげるべきか大いに頭を悩ませています。。。

ぽちっと、ありがとうございました~☆

らぶ さんへ

おかえりなさ~い♪
無事に戻られて良かったです。。。

そうなんですよ!
わんこの描写が少なすぎるのが残念です・・・。

らぶさんに飼われてみんな幸せですねe-266
私も頑張らないとe-271

やっぱりラブラドールに見えますよね!
表紙を見た時は、前作に黒ラブが出ていたので、今回は白ラブかぁって思っていたんですけど、
読んでみてゴールデンでびっくりしました~v-356

No title

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一分間だけ 原田マハ

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