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魍魎の匣

22日公開の『魍魎の匣(もうりょうのはこ)』を観て来ました。

魍魎の匣 スタンダード・エディション

京極夏彦の人気シリーズ映画化第二弾になりますが、私はこの作品がシリーズの中で一番好きなので、どのような形で映画化されるかを楽しみにしていました。
以下、ネタバレを含みます。

原作を知っていると、どんなに良くできた作品でも色褪せて見えるものですが、それにしてもこの作品は酷すぎました・・・・・。
前作『姑獲鳥の夏』は故実相寺昭雄監督の演出がまるでお化け屋敷のようであった事と、観客の想像力に委ねるべき事まで映像化したことが問題でしたが、それでも原作の雰囲気を残していました。
しかし今回は原作の雰囲気が微塵も感じらなかった、というより、残す気自体がなかったのでしょうね。

原田眞人監督はストーリー構成やキャラクターの役回りに至るまで、かなりの改変を行っています。
時間軸の移動を簡略化するためなのでしょうが、そのために物語の厚みが・・・。
私が一番納得できないのが、原作では物語の核になっていた“加菜子消失・失踪事件”が無くなっている事です。後に久保竣公の“武蔵野少女バラバラ殺人事件”の引き金になっている事件をカットしてしまったため、二つの事件の関係がひどく単純でつまらないものになってしまいました。

登場人物の描写にも不満があります(キャスティングの不満はさておき)。
大きな違和感を感じるのが京極堂と榎木津、関口の三人が会話するシーンです。
原作を読んでいれば、関口が京極堂&榎木津と対等な相手として会話しているのはどうにも落ち着きませんね。京極堂もコミカル過ぎでは?

場所の描写にも違和感が拭えませんでした。
山奥にある京極堂(古書店)、まるで漫画かアニメの巨大基地のようになっていた美馬坂近代医学研究所、研究所の中のトンネルがあまりに現代的過ぎるのも・・・。中国ロケをやった街中のシーンもあまりに中国の匂いが漂い過ぎている気がしました。

色々と原作のファンとして不満を述べましたが、そもそも原作との違い以前にこの作品は一つのミステリー映画としても全く面白くない。
各登場人物のエピソードを章立てにしているため、展開はスピーディーですが、各エピソードがぶつ切りになってしまい、物語の全体像が把握しにくくなっています。
原作ではラストに京極堂が散りばめられた謎を集約し解体する段階で、パズルのピースが一気にはまっていくかのような爽快感が味わえますが、この作品は物語に謎といえるほどの謎がなく、最終局面に達する前に大方の謎は分かってしまうので、ラストに向かう高揚感がまるでわかないのは、致命的な欠陥であると思います。

ところで、この映画を観ていて「どこかで観た感じがするなぁ」と思っていたのですが、エンディングロールが終わってようやく分かりました!
この映画、“伊丹十三”監督の作品に印象が似ているんです!無駄にコミカルとでも言うのでしょうか、無駄に忙しない感じも似ていますね。
全く物語に合っていなかった音楽も伊丹作品にありそうな音楽でした。


映画は駄作ですが、小説は傑作だと思います。
文庫版には分割されているものもありますが、個人的にはこの厚さこそ京極堂シリーズだと思います。

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テーマ : 魍魎の匣 - ジャンル : 映画

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