月光ゲーム
第8回本格ミステリ大賞を受賞した有栖川有栖さんの『女王国の城』が読みたかったのですが、買ってみてからシリーズものであることを知りました。
というわけで、まずは一作目の『月光ゲーム Yの悲劇 ’88』から。
英都大学推理小説研究会(アリス、江神、モチ、ノブナガ)は合宿で訪れた矢吹山のキャンプ場で他大学3グループと知り合い、親交を深めていた。
キャンプを楽しむ一行だったが、突然の矢吹山の噴火によりキャンプ場に17人の男女が閉じ込められることに。
そんな中、一人が失踪し一人が遺体で発見されて・・・
キャンプを楽しむ一行だったが、突然の矢吹山の噴火によりキャンプ場に17人の男女が閉じ込められることに。
そんな中、一人が失踪し一人が遺体で発見されて・・・
本格ミステリーのお約束ともいえる「クローズドサークル」ですが、噴火を使って構築したものは初めてお目にかかりました。
しかし巨大な暴力装置である火山のせいで、肝心の殺人者の影が薄い気がするのは・・・。
実際、この作品で一番気になったのが登場人物たちの危機感のなさ。
仲間の一人が遺体で見つかり、さらにもう一人も殺されているかもしれないという状況下で堂々と単独行動を取り続けているのは理解に苦しみます。
自分のグループ内の人間は信頼していたとしても、初対面の他グループ3組に対する無防備さは?
結局のところ、登場人物たちの会話や雰囲気から伝わってくる感じはミステリーというよりも青春小説なのです。
そのため事件そのものに対する焦点がぼやける事があり、アリスもあんなことをしてしまったのでしょうね。
ロジカルな推理により事件が解体されて納得度も高いのですが、トリックのようなものが一切ないシンプルすぎる構図に物足りなさが残るのも事実です。
タグ : 有栖川有栖 『学生アリス』シリーズ
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